がんは遺伝子と免疫の病気

私たちの体内では常に細胞が分裂・増殖を繰り返し、生命が維持されています。細胞は、生命情報である遺伝子に従って複製され、一定の回数、分裂すると、細胞死に誘導されます。

しかし、何らかの原因で遺伝子が正確にコピーされず、異常な細胞が生まれることがあります。この異常が繰り返されると、細胞はがん化していきます。がん細胞は無秩序に、そして無制限に分裂・増殖を繰り返します。

私たちの体には免疫という優れた仕組みがあり、体内の異物を速やかに排除してくれます。実は、がん細胞は健康な方の体内でも毎日、何千個も生まれているのですが、免疫が見つけ次第、排除してくれています。

しかし、加齢や病気、ストレス、その他の原因で免疫が低下すると、がん細胞は免疫の監視を逃れて生き延びます。そして、分裂と増殖を繰り返し、目で見える大きさになった段階で、がんという病気と診断されるのです。

がんは浸潤・転移していく

がんは早期の段階では原発の部位に留まっています。そして、どんどん進行して周囲に浸潤していきます。また、遠く離れた部位に転移することもあります。

個々の細胞にはどこでその役割を果たすのかが、遺伝子に情報として刻み込まれています。正常な細胞であれば浸潤した先、転移した先では生き延びることが出来ません。

しかし、がん細胞は無秩序・無制限に分裂・増殖を繰り返し、患部の臓器や器官の働きを邪魔します。また、がん細胞は正常細胞よりもエネルギーを消費するため、生命維持に必要な栄養を奪い、患者を衰弱させていきます。