標準治療だけでは進行がんの完治は困難

我が国は国民皆保険という制度の元、優れた医療を誰もが大きな負担なく受けることが出来ます。また、医学が日進月歩しているにもかかわらず、我が国ではがんで亡くなる方はなかなか減りません。

この背景にあるのは、標準治療だけでは進行がんを完治させることは困難だという現実です。がんは、患者さんひとりひとりが異なる病気です。それにもかかわらずガイドラインに則して一律に部位別の治療が行われています。また、がん克服の鍵は免疫であり、欧米のがん治療は既に免疫重視に移行しているにもかかわらず、免疫を低下させる抗がん剤が全身療法の第一の選択肢であり続けています。

がん治療を医師や医療機関任せにしない

この状況を改善するには、がん患者さんひとりひとりが治療を医師や医療機関任せにせず、主体的に考え、自分に最適な選択をしてくことが求められます。

まずはがんという病気を知り、標準治療を上手に受けながら、その限界の部分を先端医療などで補完していくことが必要なのです。

これを私たちは「がん治療設計」としてお手伝いをさせていただいております。

標準治療を補完する治療Complementary treatment

  • 免疫細胞療法

がん征圧の鍵は、がんを攻撃する免疫が、十分に機能しているかどうかに左右されます。そこで、患者さんの免疫細胞を採取し、体外でがんと闘える状態に強化してから、再び点滴で戻すのが免疫細胞療法です。

免疫が機能していれば、そもそもがんにはなりません。がん患者さんの免疫は低下しています。また、がん細胞は、自分が生き延びるために、様々な手段で免疫を抑制しています。

がん患者さんの免疫細胞を目覚めさせるには、生死に関わるような強い刺激を与える必要があります。しかし、その刺激によって危険が及ぶのであれば本末転倒になってしまいます。そこで、免疫細胞を体外で培養し強化するという方法が開発されました。

  • 遺伝子治療

がんは、細胞が分裂する際に、遺伝子が正常にコピーされず、それが積み重なって、細胞ががん化した結果です。

がんの発症に関わっている遺伝子には、がん遺伝子とがん抑制遺伝子があります。がん遺伝子が壊れたり欠けたりすると、細胞は異常な分裂・増殖をはじめます。一方、がん抑制遺伝子は、異常な細胞が出来ると、それを修復したり、修復が出来ない場合は、自然死に誘導したりするのですが、これが壊れたり欠けたりしていると、異常な細胞がそのまま生き続けて、分裂と増殖を繰り返すことになります。

こうした遺伝子に異常のあるがん細胞に対して、正常な遺伝子を人為的に補い、自然死に誘導するのが遺伝子治療です。

  • 粒子線治療

放射線を照射して、がんを破壊する際には、患部の周辺やその前後の通った部分にも影響が及びます。そこに重要な臓器や器官があった場合、後遺症が出ることがあります。

通常、放射線はX線が用いられますが、重粒子線や陽子線による新しい粒子線治療が開発されています。重粒子線や陽子線は任意のところで出力を最大に出来るため、がんだけを狙うことが可能です。また、高い線量で当てることが出来るため、治療の回数や時間を圧縮出来るという利点もあります。

一部のがんでは重粒子線や陽子線による治療が保険適用になっています。

  • 高濃度ビタミンC点滴

がん細胞は正常細胞よりもエネルギーを消費するため、積極的にブドウ糖を取り込みます。そこで、ブドウ糖を構造が似ているビタミンCを大量に点滴して、血中の濃度を上げると、がん細胞は間違えて吸収してしまいます。ビタミンCは濃度が高くなると、強力な酸化作用のある過酸化水素を発生させるため、がん細胞は内側から破壊されます。正常細胞にはカタラーゼという酵素があり、過酸化水素を中和してしまうため、影響は受けません。高濃度ビタミンCは副作用のない抗がん剤といえます。

また、抗がん剤を投与すると、体内で大量の活性酸素が発生します。活性酸素は細胞を錆びさせ、老化や病気の原因になります。ビタミンCは代表的な抗酸化物質であり、活性酸素を中和するため、抗がん剤の副作用の緩和にも役立ちます。